かつて、六億円獲得への長い道のりについて書いた事があります。あれから実に三年。未だに三百円以上の当たりが出ないままです。それでも、盆正月はわくわくしながら三枚の宝くじを眺めて皮算用をしています。アレを買おう、コレも欲しい、といった具合に。具体的には、PS2とグラディウスV、もしくはエスプガルーダが欲しいです。ええ、「3」じゃなく「2」。下手だけどシューティング。

今年の夏からは、宝くじに加えてサッカーくじ、所謂TOTOの購入も始めました。そう、こちらも狙いは六億円です。盆正月だけの宝くじと違い、サッカーくじはほぼ毎週抽選があります。という事は、私が六億円を手に入れるチャンスも、数倍から数十倍になっているはずです。

「サッカーくじで六億円」というのは、今年の春頃のニュースで知った方も多いでしょう。「あんまり売れないからサーバを安上がりな奴に変えたら、なんかガンガン売上が上がって処理不能になった」という一件です。「売れないせいで全然当選者が出ないから、繰越金が増えすぎて今度は六億円当たるかも」なんて報道が行われた結果、購入希望者が急激に増加したのが原因です。それまでは売れなくて困ってたのに、一転して売れすぎて困ったそうです。

日本のサッカーくじに関して、「名前くらいは知ってるけど細かい事は知らない」という人が誤解しているのが、くじの種類による購入ルールと賞金です。殆どの人は、「どのチームが勝つか予想して、全部当たったら六億円」というふうに漠然と考えているのではないでしょうか。しかし、これは正しいようで間違っています。そういうルールで購入するくじもありますが、その種類のくじでは六億円は当たりません。

どこが勝つか予想する、馬券のようなサッカーくじは「toto」「mini toto」と言います。それぞれ一定の試合に関して、主催するチームが「勝つ」「負ける」「それ以外」のどの結果になるかを予想します。実際のくじ用紙にはこの三種類の結果は「1」「2」「0」で表されるので、この三進数のような数字列が並ぶ事になります。両者の違いは対象試合数です。totoは十三試合を、mini totoは五試合を予想します。結果的に、当たりにくく賞金額が高いtotoと、当たりやすいが賞金額が低いmini totoという違いが出てきます。

この二種類のくじの問題は、まあ当然の事なのですが「予想しないといけない」事、そして結果次第では「当たっても賞金額が少ない場合がある」事です。予想する必要があるので、ある程度はサッカーの知識が必要です。正確にはJリーグの知識でしょうか。各チームの相対的な強さだとか、得意とする戦術だとか、そういう知識が必要です。また、単純に「強いチームが勝つ」とだけ予想すると、当然ながら多くの人がそんな予想をするので当選者が多くなり、その結果自分の分け前は減ります。かと言って天邪鬼な予想をしても、その少ない賞金すら貰えない事が多くなります。この辺は競馬と一緒ですね。本命狙いはローリスクローリターン、大穴狙いはハイリスクハイリターンです。で、予想をせずに勘に任せるとノーリターンになっちゃう、と。

ある程度自分なりの判断材料を持っている競馬ですら当たらない私にとって、それ以上に予想の手がかりが無いサッカーなんて全く当たる気がしません。というわけで、徹頭徹尾運に任せるサッカーくじが「BIG」「mini BIG」です。BIGはtotoと同様十三試合が、そしてmini BIGは九試合が対象ですが、違う点は「勝手に結果を予想されている」事です。自分が予想する必要はありません。つまり、馬券ではなく普通の宝くじのようなものです。購入時点で既に運命は決まっているのです。殆どの試合は「1」か「2」の結果になるので、購入時点で「0」が多いと試合開始前から期待をする気にもなれません。

totoとBIGの大きな違い。それは賞金額です。六億円当たるのはBIGの方なのです。基本的に運を天に任せるBIGの方が当選者が少なく、その結果積もり積もった賞金を独り占めできるからです。あと、BIGの場合だと購入したくじの内容によっては応援しているチームが負けることを一心不乱に願う必要があるかもしれない事でしょうか。シーズン終盤には「優勝のためには勝たないといけないけど、俺の当たりのために負けてくれ」と思っている熱心なサポーターもいるのではないでしょうか。この点はノンポリな私にとっては全く関係ない事です。

そんな訳で、私は毎週三百円のBIGと、二百円のmini BIGを購入しています。毎週五百円の出費で六億円の夢を狙えると思えば安い物です。安い物ですが、一度も当たりが出ないために安物買いの銭失いとなっています。いや、なっていました。ついに先日、当たりが出たのです。宝くじでも三百円以外は当たらなかった私に、それ以外の当たりが出たのです。ええ、喜んで奥さんに自慢しましたとも。

「で、いくら当たったの?」
「四千百円」

鼻で笑われました。ちなみに、購入開始より軽く三ヶ月。赤字です。赤字ですが、いや、小さな当たりをこつこつ拾う事で運気を掴み大きな当たりに繋げる事がですね。え?一攫千金狙いと矛盾するとな?


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