昔から「美人薄命」「色男、金と力は無かりけり」と言いますように、私は病弱なのです。前の文と後ろの文が繋がっていない気もしますがそれはさておき。幼稚園の頃はやたら風邪をひいていた記憶があります。冬場なんかは出席日数よりも欠席日数の方が多かったくらいです。あれから二十年程経過していますが、当時ほどではないにせよ今でも年に数回は寝込む事があります。

先日が、その年に数回ある「寝込む日」でした。子供達に寝床を追い出され、仕方なく空になった子供のベッドで寝た翌日。爽やかな青空が広がる休日の朝です。気を抜くと頭をぶつけそうな二段ベッド下段から起きようと……あらららら。

目が回ります。それはもう、ぐるぐると。立てないどころか、横になっても世界が回ります。俺はそんなに猛烈な寝返りを打っていたのか、とかボケる余裕もありません。起き上がろうにも目が回って、それに伴う吐き気でそれどころではありません。今の自分の平衡感覚で行動しようとすると頭が地面にめり込みます。『実はカポエラ使い』とか言うのならひっくり返ってくるくる回りながら移動もできますが、逆立ちすらできないのではどうにもなりません。横になって、目をつぶって、嵐が通り過ぎるのを待つしかありません。

ようやく起き上がれるようになり、居間へと向かいました。でも駄目。居間のソファで力尽きました。また世界が回り始めます。「くらくら」なんてかわいいものではありません。「ぐらぐら」とか「ぐらんぐらん」とか、それくらいの酷さです。頭がぐるぐるで目が回ってぐるぐるでまわってぐるぐるで、トイレに駆け込むのがやっとでした。ローリングゲロ回避成功。

一般的な体調不良の兆候の場合、今までの人生経験からそれなりに手を打つ事ができます。頭が痛い、鼻水が出るなんて症状ならば風邪薬を飲んだり暖かくしたりすればいいのです。肩こりや腰痛ならば湿布を張ったりマッサージをする事で症状は緩和されます。でも、「突然目が回る」なんて症状は初めてです。物理的に身体を動かした結果目が回ったのならば「逆方向に回って差し引きゼロの気分にする」という手が打てます。しかし、目覚めたときからぐるぐるの場合はどうにもなりません。逆方向どころか、立つ事もままならないのですから。

結局その日はろくに動けぬまま。翌日も半死半生。飯は食えるようになったけど、まだ頭が軽くくらくらする感じでした。「脳みそとか神経の奥っぽいとこがよろしくない感じ」というのが続いています。奥のほうだからうかつに手を出せないので自然治癒を待つしかないのですが、「奥っぽいとこは果たして自然治癒するのか」という疑問が残ります。なんかこう、重症っぽい感じもするわけですよ。「放っておくと大変な事になりますよ」とか言われそうなわけです。「酒を飲む事でぐるぐるが差し引きゼロになるかどうか」やってみましたが、眠くなるだけでしたし。他に何か無いかね。逆ベクトルでぐるぐるするような物。3Dのゲームとかだと相乗効果で凄い事になりそうだから、もうちょっとマイルドな物がいいんですが。


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