WEB上には様々なサービスがあります。一見さんがふらっとやってきて使えるようなものもありますが、何らかの登録が必要なものも多くあります。単純にIDとパスワードだけ登録すればいいものから、住所やら性別やらと細かく登録しなければいけないものまで様々。「無料だから仕方ない」とか自分に言い聞かせつつ登録しますが、たまに「なぜ無料なのにクレジットカード情報を登録しなければならないのか」というサービスもあります。さすがにおっかないんでそこは利用しません。

こういう時に使用するIDとパスワードは、大抵いくつかのサービスで同じようなものが使われるかと思います。セキュリティ的にはIDやパスワードの使いまわしはよろしくないのですが、そういう堅苦しいことを言っているとどのサービスでどのIDだったか思い出せなくなります。かつて、とあるサービスに登録した時の事。当時は長男がまだ乳児でした。長男は口元によだれをため込んでは泡のようにあふれさせることが多く、その仕草から「かにたろう(仮名)」と呼んでいました。で、ちょうどその頃あるサービスに登録する際にパスワードが必要となり、「かにたろう」というパスワードで登録しました。直後は問題なかったんですが、数年して久しぶりにログインしようとするとパスワードが分かりません。メモでもしてりゃよかったんですが仕方ありません。パスワードの再発行依頼をしてメールにて通知されたパスワードを見たときの驚き。そういえばそんなパスワードだったね。忘れてりゃ世話ないけどね。

パスワードは他人様に見せるものではないので適当な文字列でも構いません。しかし、IDの類はそのまま公開されてしまったりします。そのためあまり変な文字列はよろしくありません。買い物サイトのような業者と一対一でやりとりをするようなサイトならば問題ありませんが、ここに利用者間のやり取りができるような機能が付いてたりすると問題が出てきます。私が何らかのネット上のサービスを利用する場合、IDやアカウント名としては通常「cloud」という名前を使用します。長年使い続けているハンドルですし、ドメインだって取得しています。今更他の名前を使う理由はありません。ですが、ほとんどの場合においては他の名前を使わざるを得なくなっています。

そもそも「cloud」という単語は一般的に「雲」を表します。あまりにも一般的すぎる単語であるがために、よっぽどのことがない限り他の人が既に使用しています。さらに日本のゲーム界隈においては「FinalFantasy VII」の主人公の名前でもあるため競争率は非常に高くなっています。そのゲーム、主人公の名前が発表された時は友人たちに「時代が俺に追いついてきた」とか言ってたもんですが、今となっては非常に迷惑です。同じ名前が登録できるサービス、例えばmixiなんかだと掃いて捨てるほどの「cloud」さんが存在します。勿論私も佃煮にできるくらいたくさんいる「cloud」さんの一人です。今更どうということもありませんが、第三者が私を探そうとするときに困るようです。「おい、山ほど『cloud』が出てきたけどどいつがお前だ」とか。その時は出身地で絞り込んでもらいましたが。

先日登録しようとしたサービスは同一名称の使用は認められないシステムでした。当然の如く「cloud」というユーザ名で登録しようとしますが、当然の如く「その名前は使用済み」というエラーになります。仕方ありません。ちょっと名前を変えて登録しましょう。こういう時は接頭辞や接尾辞、つまり「cloud」の前や後ろに何らかの語句を付加して別物に変えてみるもんです。なので、「cloud_st」で登録に挑戦。私が所有するドメイン名です。つまり、私に所有権がある名前のはずです。なのに、「その名前は使用済み」。誰だおい。

私と違う意図で「st」という接尾辞を選んだとは考えられます。私にとっての「st」は、「サントメ・プリンシペ共和国」です。ですが、私より先に「cloud_st」という名前を取得した誰かさんにとっては、例えば「ザクセン=アンハルト州のドイツ州コード」とか、ドイツ州コードじゃないにしても、「エステー(旧エステー化学)」の事だったり「スタートレック」の略称だったりするかもしれません。それらよりももっともらしいのは「聖人」でしょうか。「Saint」の日本語訳だそうですが、「セイント」は違うものを連想しそうです。ペガサス流星拳とか積尸気冥界波とかペガシスシューティングスターアタックとか。あ、ベイブレードが混ざってる。

「st」じゃなくて、このサイト名である「nine」で、つまり「cloud_nine」で攻めようにも、そちらは「有頂天」とか「いい気分」なんていう熟語として成立するような語句です。より競争率が高そうです。実際に取得済みでした。で、さらに妥協してここのサイトのURL、「cloud_st_nine」とまでくっつけてようやくアカウントの空きが見つかりました。さすがにここまでくれば誰もいないようです。これでダメなら「zatsubun」とか付けないといけないところでした。

そのサービスは「誰がcloudさんなのか、誰がcloud_stさんなのか」という事は分かりませんでした。しかし、他者との交流も可能なサービスですとその疑問も解消できます。相変わらず世間で評判のtwitter。あんまり触りたくはないのですが、こうも「twitterで情報発信中」が増えると嫌でも触らざるをえなくなります。特にゲーム関連で多いですね。公式サイトだの公式ブログだのだけで済んでいた頃はそのURLにアクセスすれば済んだのですが、みんなtwitterに行っちゃったばっかりにわざわざアカウントを取って追いかける必要が出てきました。で、やっぱりアカウントに「cloud」を取ろうとして、そして「cloud_st」を取ろうとしてエラーになるのです。こちらも「cloud_st_nine」で取得後、「じゃあ誰がcloudさんでcloud_stさんだ」と思い調べてみました。調べてみたんですが、「日本人じゃなさそう」くらいしか分かりませんでした。「cloud_stさんはあんまり発信してないっぽい」とか。そのアカウント返してくれよとは思いましたが、後からやってきて「返してくれ」は変だし、しかしそのドメインは私のものなので「譲ってくれ」もこれはこれで変だし。早い者勝ちのサービスなんで仕方ありません。将来、一般に普及しそうなサービスがあれば、その時こそは「cloud」なり「cloud_st」なりを取得できるように精進せねば。


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