男の子という生き物は必殺技の練習をする生き物です。世の中に溢れる漫画なりアニメなり特撮なりゲームなりでは多種多様な必殺技が登場します。そりゃ真似しますとも。大きな声で技名を叫びますとも。そして練習や修行もしますとも。あなただって、かめはめ波のポーズくらいしたことあるでしょう。もっと前の世代ならばスペシウム光線やライダーキックだったかもしれませんが、やっぱりポーズをとったでしょう。

「必殺技」というとすぐ思い浮かぶのは直接攻撃系のものですが、それ以外のものも勿論存在します。私と同年代くらいであれば、サッカーボールを蹴るときに「ドライブシュート」とか「タイガーショット」とか叫んだ人も多い事でしょう。「俺のシュートはドライブシュート」とか「俺はタイガーショット」とか各自が言い出した結果、それら各種技の使用者重複を防ぐために調整が行われ、結果として「お前のは隼シュート」とか言われた人もいることでしょう。新田君です。余り物です。ノートラップランニングボレー隼シュート打っちゃうぞ畜生。

例示したのはサッカーですが、勿論他のスポーツでも同様の例はあることでしょう。野球だったら大リーグボールを投げたり、バスケだったら庶民のシュートを放ったり。ただ、「いろんな必殺技がたくさん出る」という点ではサッカーが非常に有利です。最近じゃ「必殺技がたくさん出るアメフト漫画」というものもありますが、なにしろサッカーとアメフトでは日本における知名度の差がありすぎます。微妙にフェイントをかけながら全力で走りつつ「デビルバットゴースト」と叫ぶという事で日常生活に組み込む事はできますが、やはり元ネタと同じスポーツで使ってこそと思いますし。という事で、最近は「イナズマイレブン」というアニメに注目しています。子供たちが集中して見ているのですが、内容がすごい。いやサッカーなんですけど、分身したり炎をまとったり煙幕を張ったり。実際に見る前は「キャプテン翼」の後継だと思っていたのですが、どうやら「リベロの武田」の後継だったようです。いつ「バズーカチャンネル田楽刺しモード」が登場するかとワクワクしています。あれだったら作中で原理を説明してあったから自分で打てるし。

原理が説明してあると、自分も真似してみようと思います。かめはめ波だったら「気を集中して放つ」ですし、大リーグボール2号だったら「ボールが砂煙にまぎれて見えなくなる」ですし、バズーカチャンネル田楽刺しモードだったら「直接『バズーカチャンネル』を打つと破壊力がありすぎてコントロールができないため、足の甲ではなくふくらはぎでシュートする事で無駄な威力が落ち、また直進性も上昇する」です。最後のだけやたら説明がくどい気がしますが、物凄くあやふやな記憶に基づいて記述しています。いやでも練習したんだよ、田楽刺しモード。ボールをちょっと浮かせて、シュートの際にふくらはぎの外側に当てる。これで爆発的な推進力と、あと貫通力が生まれるはずなのです。今の子供達は「イナズマイレブン」の真似をして「ドラゴントルネード」とか「皇帝ペンギン2号」とか「ゴッドハンド」とかやったりするんでしょうか。「空中三回転して右足から炎を出してシュート」「さらにそのツインシュート版」とか、いささか敷居が高いのではないかと思うのですが。

しかしながら、やはりお手軽必殺技と言えば格闘技系。気を溜めなければいけない必殺技も多いのですが、キックやパンチだけでも技だと言い張れば技になります。先日、子供たちが二段ベッドから布団を垂らしてカーテンのようにしていました。「パンチとかキックとか練習してた」とか言いながら。ふと、このぶら下がっている布団を見て、ある必殺技を思い出しました。おもむろに布団の前に立ち、足を肩幅に開いてから子供達に伝えます。「お布団にグーを当てて、その当てた状態からパンチをして、布団に穴が開くようになったら凄い必殺技が使えるようになるよ」と。かつて多くの少年達が練習したと言われる幻の技、陸奥圓明流奥義・無空波。うちの息子達は、はたして習得できるでしょうか。


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