学生時代と比較して、約10kg程増量した私。身長が伸びたわけではなく、足のサイズが大きくなったり手が二本生えてきたりしたわけでもないので、増量分のほとんどは腹回りに憑いています。

そのせいでしょうか。以前と比べて暑さに弱くなったような気がします。昔は奥さんと暑さ寒さを共有していたような気がしますが、現在は私が「暑い」と感じていても「肌寒いから窓を開けるな」と言われたり。仕事帰り直後なんかは、汗だくなのに団扇でしのぐ日々です。まあ、子供たちが暑いと言わない事には多数決で負けてるんで仕方ありませんが。

帰宅直後は汗だくだく、風呂上りにも汗だくだく。で、寝るときも汗だくだくになります。引っ越す前は田舎暮らしだったんで、寝床の周囲の扉は全開放、縁側のドアも開けっ放しでした。時期がいいといい風が吹いてきたのですが、そんなに過ごしやすい時期はそれほど多くなく、扇風機で暑さを凌ぐ事が殆どでした。が、現在では窓を開けっ放しで寝ること事態が難しくなっています。寝室の、特にベッドの枕元の窓なんか開けたりすると、通路側から丸見えです。さすがにそれはよろしくありません。かと言って、窓を全部閉めてみると五分もすれば空気が澱んでくるのが分かります。寝る寝ないどころではありません。

という事で、梅雨前後からは寝るときに保冷材を使用するようになっています。引っ越す前も梅雨明けくらいには使っていたのですが、今年は六月から。保冷材をタオルで巻いて、首に当てたり枕にしたり、腰に当てたり額に乗せたり。眠りに落ちるまでごろごろしています。

先日もそんな暑い日でした。ネットゲームで対戦していたため就寝時刻が遅れ、殆どの部屋の電気が消灯している中、足の小指やらをぶつけつつベッドに潜り込みました。眠かったんですぐ寝付くと思っていたのですが、蒸し暑さのせいで眠いのに眠れません。仕方がないので冷凍庫から快適お休みセットを持ち出すことにします。暗闇の中を手探りで冷蔵庫の前まで辿り着き、半分閉じた目で保冷材を取り出し、タオルに巻いて再びベッドに戻ります。「ああ、涼しいよ、気持ちいいよ、快適だよ」と頬を寄せながら、なんとか眠りにつく事ができたようです。保冷材様々です。

で、起きたのは昼前。「土曜日は私が早起きして奥さんがゆっくり寝坊、日曜日はその逆」という夫婦間睡眠条約のおかげでぐっすり眠れたわけです。外は雨が降っているため、子供たちは家の中で騒々しく遊んでいるようです。そろそろ起きて子供たちの相手をしなければなりません。眼鏡を掛けて、保冷材を手に取り、って、保冷材に巻きつけていたタオルが外れかかっているのですが、なんか妙な物が包まれています。私が使っている保冷材の表面は白いビニール製のものなのですが、今目の前にあるのは妙に赤々しい代物。しかもいい具合に解凍されています。こう、いい感じで肉汁が。そう、肉汁です。よく見ると、「牛丼、野菜炒め等にどうぞ」とか「牛こま切れ」とか書いてるシールが見えます。どうやら私は寝ぼけて、牛肉を抱いて寝ていたようです。

愕然としながら居間に向かい、奥さんにタオルを、そしてその中身である牛肉を見せます。「俺はこれを抱いて寝てた」と。もう大変です。爆笑どころではありません。悶絶とかそんな感じ。大声を通り越して、声も出さずに身体を折り曲げて笑っています。そこまで笑うかと思いながら、しかしこの牛肉もう使えないだろうなと思いながら、「暗いところではちゃんと電気を点けよう」と思うのでした。


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