中学校に入学した直後、筆箱を買いました。茶色の布製のもので、たしか七百円ほどしたと思います。それから一年ほど経過して、中学一年生の終わり頃に一本の黒いシャーペンを買いました。こちらは二百円ほどしたと思います。

購入から十年どころか干支が一回りするくらいの月日が経過していますが、未だにこの二つを使い続けています。たかだか二百円程度のシャーペンではありますが、これくらい使い続けていると愛着も湧いてくるというものです。「シャーペンじゃなくて鉛筆を使え」と言われた高校受験を除いては、殆どこの筆箱とシャーペンで乗り切ってきたようなものですし。中学、高専での各種試験や資格試験、就職試験といった具合に。

私は所謂「正しい鉛筆の持ち方」ができない人でして、長時間筆記具を使用していると右手薬指の第一関節辺りにタコができてきます。学生時代は「試験直前にタコが大きくなる -> 試験終了後、徐々にタコが小さくなる -> また試験の時期になりタコが大きくなる」の繰り返しでした。毎日こつこつと勉強していれば一夜漬けなんかに頼る必要は無かったんですけどね。日々の努力は大切です。身に付かなかったけど。で、そのタコ。学生時代はよく表に出ていたものの、ここ数年はさっぱり出てきません。

今はPCを使う日々。ちょっとしたメモでも、紙切れではなくテキストエディタを使用します。紙切れに何かを書くときは、構想をまとめるための殴り書き程度が殆ど。だからかしこまって何かを書かなければいけないときは非常に難儀します。「ご祝儀袋に名前を書く」なんてミッションでは「いやほら俺字が汚いから相手に失礼でしょねえやっぱ綺麗な字のほうが貰うほうにしても嬉しいし」等と無理やり理屈をつけて奥さんに頼み込む事ができます。しかし、自筆である必要がある場合はそういうわけにはいきません。各種国勢調査どころか、最近では投票用紙に候補者の名前を書くのですら面倒です。こう、ね。たくさんじをかくとおててがつかれるの。

そんなわけで、現在仕事場の机の引き出しで待機中の筆箱は、なかなか使われる事がありません。一番使用頻度が高いのが水性の極細ペン。各種書類の記入に使われています。次に使用頻度が高いのが赤のボールペン。各種資料へのチェック項目記入に使われています。で、次に使用頻度が高いのが相棒のシャーペン。但し、これら以外に筆箱に入っている物なんて、修正液に消しゴム、ホッチキスと、使用頻度が高くなりそうも無い物ばかり。結局、相棒は最も使用頻度が低い物扱いになっています。

もっとも、使用頻度の高い低いを比較したところで所詮はどんぐりの背比べ。どれもこれも一日に数回どころか一週間に数回程度しか使われません。そのおかげで消耗品もなかなか交換されません。ボールペンや修正液というものは結構頻繁に交換される物だと思うのですが、就職してから一回くらい交換したかすら怪しかったりします。でも、これらは使用して減っているのが分かるからまだいいほうです。ボールペンなんて、あと二年もすれば交換されるでしょうから。二年もかかるあたり、どうかとも思いますが。
問題はシャーペン。いや、本体の問題ではありません。今まで十年以上無事に使われていたのですから、これからも問題なく使われるでしょう。
本当の問題は、実質ワンセットである替芯。今数えたところ、このHBの替芯は残り二十七本ほどありました。で、最近は年に一回ほども芯の追加をした覚えが無いのですが。あれか。あと三十年近くこいつらと一緒なのか。


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