小金沢昇司という方をご存知でしょうか。1992年流行語対象銀賞を獲得した言葉は「歌手の小金沢クン」だそうですが、その方です。どれくらい有名かというと、先程私が「小金沢昇司」という名前が出てこなかったために「小金沢 ノド」で検索すると名前が出てくるような、それくらい有名な人です。それにしても、かれこれ十年以上も昔の話か。

この方が有名になったきっかけが、あのノドに直接噴射するスプレー状の薬です。ノドの具合がおかしい歌手が、その薬を使用することで調子よく歌える。そんなCMがきっかけで本当に歌手デビューされたそうですが、ということは、あれか。収録当時は本当は歌手じゃなかったのか。今まで騙されてたぞこの野郎。

やり場のない怒りはさて置くとして、ここ最近の私はそのスプレー状の薬に頼る日々が続いています。「今年の風邪は○○にくる」という言葉はもはや季語といっても差し支えないくらいですが、私の感覚としては、「今年の風邪はノドにくる」ようです。「今年の」と言っても、お前今何月だと思ってるんだと言われそうですが、まあ、「今年の風邪」という言葉は年中使える季語なんで細かい事は気にしない。「五月病」が年中使える季語である事と同じような事です。

で、このノドの痛み。ひどいときは数分間普通に呼吸をしているだけでどうにもならなくなったりします。症状の軽減のためにのど飴を舐めてもみるのですが、そうすると今度はのど飴の副作用が。市販されているのど飴の多くは人工甘味料の類を使っているようでして、注意書きとして「大量に摂取するとお腹がゆるくなる場合があります」と記されています。この副作用というものは当然個人差がありまして、効かない人には全く効きません。で、私はというと、思いっきり効く人陣営に属しているわけでして。だいたいその類の飴を五つほど食べますと、しばらく後にトイレに駆け込む羽目になります。で、出てくるモノはと言いますと、これが見事な「水」。「下痢」ですらありません。ありゃ「水」です。着色された「水」。力説するようなものではありませんが。

脱線ついでに症状を更に細かく解説すると、まず水がびちゃびちゃと出てきます。で、ある程度出てしまうと今度は腸内にやたらとガスが貯まるようになります。平時であれば上手い事やって音も立てずに排出する事ができますが、そういう場合、下手をするとガスと共に水も排出される危険があります。こう、ガスが出そうな感じがして、「あ、もうそろそろ排出される」となってからが大変なんです。例えるならば、車を運転中にわき道から出てきて幹線道路に合流するような感じでしょうか。一旦停止して、そろそろと進みながら左右を確認。安全であると判断したら合流する。そんな感じで、肛門付近で一旦停止、ガスだけだと判断したら音を立てずに排出する。そういう、無駄に気を使う必要が出てきます。

お食事中の方はすいませんね。もう大丈夫ですよ。さて、そういう厄介な今年の風邪ですが、いつもならば市販の薬を服用してきちんと睡眠をとれば数日で回復できます。雑文書き三種の神器の一つである「ドリスタン」を飲み、暖かくして睡眠。そうすればちゃんと体調は良くなるはずでした。実際、年度末の第一波もそれでしのぐ事ができました。

四月末にやってきた第二波。長男が幼稚園から持って返ってきたようですが、これが我が家で大流行しました。なんせ、一ヶ月経っても次男を除く全員の咳が収まりません。子供達も小児科に行き、私も通院する羽目になりましたが、もう一息というところでなかなか完治に至りません。鼻水なんかは結構早めになんとかなったのですが、咳とのどの痛みが治らないんです。

さすがに会話のために言葉を発するたびにけほけほやってては仕事になりません。そういう理由でのど用の薬を使用して乗り切っています。やっと話が戻ってきました。そのスプレー状の薬ですが、やたらと使うんで消費が非常に激しくなっています。連休中に購入した一本、家に備えてあった一本、これらが今回の風邪で消費されてしまいました。二本消費しても治らないんですから困ったものです。困ったものですが、ないと仕事以前に会話ができないので仕方なく補充のために薬局に行きました。

連休中は緊急対応だったので選択肢も殆どありませんでしたが、今回はじっくりと選べます。じっくりと選んだ結果、「ビタミン配合 ハーブエキス配合」なる謳い文句のものにしました。ミント系は苦手だというのもありますし、最も安かったというのも理由の一つです。購入し、帰宅してからその効果を確かめてみようと思い、実際に使用してみました。

しゅっしゅっ

あれです。その時の私の心境を文字で表現しようとすると「!?@"#()!!!?>{_?/#=」とかそんな感じです。なんじゃこりゃ、と。わかりやすく一言で言うと「まずい」。「良薬口に苦し」とは言いますが、そういう「まずい」ではなく、「綺麗な色の絵の具をどんどん混ぜていったら汚い色になってしまった」というまずさ。こんなことなら素直にミント系のやつにすればよかった、そう思ったほどです。さらに、スプレーの威力が強すぎて、普通に使用するとちょっと戻しそうになります。困りました。

で、何故にこんなに変な味がするのか。原因、というわけではないでしょうが、それなりに納得できる理由はありました。容器をよく見てみると、「医薬品」という文字がどこにもなくその代わり「品名:清涼菓子」という表記がありました。さらに、外箱をみてみると、「スプレー式のど飴」という表記も。どうもこれは薬ではなく、ただのお菓子のようです。ただのお菓子、つまりちょっと変わったのど飴だから甘ったるい、変な味がするよ、と。医薬品じゃなくてお菓子だから、コンビニやスーパーなんかでも普通に発売できるよ、と。食玩と同じような考え方ですね。しかし、それならそうと、せめて同じ棚に並べないでほしいものです。結局翌日ミント系の医薬品を買い換える羽目になりましたし。いや、よくみて買えばよかったんですけどね。それにしても、まずい、スプレー強い、風邪治らないと散々な状態です。完治はまだか。春はまだか。


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