テレビを見ていたら、理系大学生の授業風景ということで工学実験の映像が流れていました。その一角で半田付けをするお兄ちゃんの姿が。右手に半田ごてを、そして左手に半田を持って集中しています。

ごく普通の、真っ当な人生を歩む人々はさておくとして、工学系の学校に進学した人にとっては半田付けなんてものはできて当然の事でしょう。工学系の学生でなくとも、多少なりとも電気回路に興味があったりすれば経験はあることでしょう。私はそういう学校に進学したんで授業中に半田付けをする機会がありましたし、友人達の一部にも個人的に半田ごて程度は持っていたりします。

なんでまたこんな話を始めたか。先日地元に戻った際に、友人松某の引越し作業の手伝いをしました。正確には息子達を連れて行ったんで邪魔しに行ったようなものなんですが。んで、荷物というかガラクタを新居へと運び込む作業中のことでした。荷物の中に一本の半田ごてがありました。どこかで見たような型の半田ごてです。これは、もしや。

この半田ごてってひょっとして妹さんのじゃ?
「ああ、使ってないから貰った」
やっぱり。俺も妹のを強奪したんだよ。
「貰いはしたけど使ってないんだけどな」
そこまで一緒だ。なかなか半田付けをする機会もないよな。

私の上妹と友人松某の上妹は同級生でした。妹達が中学校の授業で作成した半田ごてを兄貴達が強奪して、その半田ごては二本ともろくに使われず埃を被っている。と言いますか、私も彼の引越し荷物を見て「あ、そう言えば俺の半田ごてもどっかにあったな」と思い出した程度なんですが。

高専卒業以降で半田ごてを使った事は一回だけ。テーブルタップの部品だけ買ってきて配線部分の接続をした程度です。以前母校よりこっそり持ち出してきた半田は既にどこぞに行ってしまったため、今度使う際には半田から買ってこないといけません。それ以前に、乳幼児がいる我が家ではそんな危ないもの使う事すらできませんか。ああ、目に浮かんできます。半田ごてを使おうと暖気し、半田をもっていざ接続、という段階で「僕がする」と手を伸ばす長男の姿が。さすがに幼稚園にも行かないような子供にそんなものを触れさせるわけにはいきません。小学生くらいになればいいかな。それくらいの技術は習得しておいて損はないでしょうし。

ところで、冒頭のテレビの話に戻りますが。半田付けをしていたお兄ちゃん。両手だけで半田付けをしてたんですよ。ささやかな疑問なんですが、半田付けの作業って両手だけでできますか?私が半田付けをする時といえば、右手で半田ごてを持ち左手で半田付けをする部分の微調整を、そして口に半田をくわえ、顔全体を近づけて半田付け、となるのですが。いや、学生時代にも「器用な奴だな」と呆れ、もとい感心されてはいましたが、私としてはもう一本くらい手が欲しいのが正直なところでして。両手で普通に半田付けができる人を見ると、「おおっ、ちゃんとした半田付けだ」と思ってしまうのです。


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