疲れていると寝言を言うようになりますが、もっと疲れてくると喋るだけではすまなくなるようです。ぷろぐらまぁというお仕事をしている方なら「小人さん召還技能」なる技術をお持ちの方もいらっしゃる事でしょう。いや、これは職種には関係無いのかもしれません。ひょっとしたら、世の中の忙しい方々は誰でもそんな技能を持っているのかもしれません。

小人さん召還技能。要は、「無意識のうちに仕事が片付いてたよ」という現象です。疲労がピークに達する頃、既に意識は朦朧としているのに、何故か仕事は片付いている。そんな現象を無理やり解説できる言葉です。

小人さんの腕前にはばらつきがあるそうです。どんなによくても自分と同程度、ひどい時は目を覆いたくなるようなものだそうです。私は小人さんを召還した事が無いんで詳しい事はわかりませんが、主に夜中に活動するそうです。

つい先日まで続いた忙しい仕事の最中。まさに、小人さんの手も借りたいほどの忙しさでした。残念ながら私の呼びかけに応じてくれる事はなかったので、自力でなんとかしなければならなかったのですが。

その、自力で何とかしていた頃。仕事場では朝から夜まで仕事に取り組み、自宅では飯食って風呂入って寝るだけ。そんな日々が続いていた頃です。土曜日も仕事をし、まともな休みは日曜くらいしかなかった時期でした。

先日誕生した次男もすくすくと成長し、昼夜を問わずに泣き喚いていました。やれ腹が減った、やれオムツを替えろ、やれ抱っこしろと、まるで王様のようです。余力があれば私も手伝いますが、なにしろ自分のことだけで一杯一杯です。息子の世話をする余裕はありませんでした。

もともと、週末などの昼間は私が、夜中は相方が赤子の世話をします。夜中に叩き起こされていると、翌日は仕事にならないので何時の間にやらそういうふうになったのですが、相方は相方で長男の世話もしなければならないのですから、それはそれで大変そうです。大変そうではありますが、かと言って夜中は私も熟睡しています。一度寝たら朝まで意識はありません。途中で目覚める事なんてまずありません。

そんな事が続いたある日。毎日毎日遅くまで仕事をし、日付が変わる前くらいに自宅に辿り付き、無理やりに晩飯を流し込み、風呂に入って汗を流した後、布団の中へと吸い込まれる。そんな日々を繰り返していた時です。日曜だったのでゆっくりと休養を取り、ひさしぶりに酎ハイなんてものを飲んだ夜の事です。

我が家は母乳にて子供を育てているため、授乳に関しては私が出る幕はありません。その夜も相方は定期的に起こされ、授乳していたようです。私は夢の中なので一切関わっておりません。
しかし。

その翌日。相変わらず遅くまで仕事をし、日付が変わる前くらいに自宅へ辿り付き、無理やりに晩飯を流し込んでいる時に相方にお礼を言われました。「昨日は夜中にわざわざ布団をかけてくれてありがとう」と。
???
話を聞いてみると、昨夜は授乳が終わった後、あまりの眠さに布団もかけずに眠ってしまった、と。しかし、そこで私が起き上がり、相方と次男に布団をかけてあげた、と。そういう事に対して感謝しているそうです。

ちょっと待て。俺が布団を?
「うん。かけてくれたよ」
夜中に?
「うん」
……憶えてねぇ……

繰り返しますが、私は一度寝付いたら梃子でも起きません。さらに、その前の晩は酒が入っています。そりゃもう、ぐっすりと眠っております。何人たりとも私の眠りを妨げる事はできません。

しかし現実には相方から感謝されるような行動をとっています。一体何が起こったのでしょうか。やはり小人さんなのでしょうか。できれば仕事に関して手伝っていただきたかったのですが。


トップ 一覧 前の雑文 次の雑文