生後二時間でいきなり大学病院にぶち込まれた次男。私が小学生の頃、「今まで入院した事があるかどうか」なんて話をしていた事を思い出します。あの時は、「『誕生時は産婦人科だったから入院してた』ってのはみんな一緒だからノーカウント」なんてルールだったと思いますが、今回のようなものは入院として数えていいんでしょうか。

それはさておき。入院しているんですから、お見舞いに行かなければいけません。特に、母親は毎日通って母乳を与える事を推奨されているようです。最初のうちは奇数日のみなんて決まりがありましたが、ある程度体力が付いてきたと判断されたら毎日面会が可能になりました。可能になりました、と言いますか、ほぼ強制だったようでして。ある日、見舞いに行った相方は、「明日から毎日来てくださいね」なんて軽く言われたそうです。「私も出産直後だし、いろいろとやらなければいけない事もあるのに」と愚痴っておりました。実際、チャイルドシートの購入など、やる事はいろいろ残ってましたし。

かと言って、父親が代理で行ったとしてもやる事なんてほとんどありません。そもそも面会時間が昼間しかありません。平日の面会のためには半日仕事を休まないといけません。休んでいったとしても、ちょっと様子を見て、抱っこして、オムツを替えて、ミルクをあげて。滞在時間も三十分程です。結局、仕事を休んで行ったのは一回だけになりました。

そんなわけで、平日の次男の様子は相方の話で窺い知るだけになりました。「さほど問題は無い」と言われていたとしても多少は心配していたのですが、特に問題らしい問題も見当たらず退院の日が近付いていたある日。ちょっとした事件が起きたそうです。

いつものように病院にやってきた相方。病室に入ろうとするといきなり別室に呼ばれます。この時点で何がおきたのか不安だったそうです。退院を翌週に控えたこの時期に、何らかの問題が見つかって入院期間が延びたのではないか、そんな事も頭をよぎったそうです。そして、その別室にやってくる三名の医療関係者。その三人の口から語られた衝撃の事実とは!

いや、わざわざ引き伸ばす必要も無いんですが。曰く、「母乳を間違えて与えてしまった」との事。

面会時間が限られているため、面会時間以外に搾り出した母乳は、冷凍して預ける事になっていました。んで、その冷凍母乳を与える際に、他の人の母乳を与えてしまった、と。そういうことらしいです。

ええ、びっくりしましたとも。わざわざ相方も引き伸ばして喋ってくれやがりますし。その時は「なんだそれくらい、びっくりしたじゃないか」なんて軽く流しましたが、後で調べてみると肝炎やらアレルギーやらが感染する可能性もあるとかないとか。大丈夫だよね。きっと。

と、それほど大事には考えなかったのですが、ここで一つ疑問に思う事がありました。
世界各地にある様々な宗教の中には、摂取する食物を制限しているものがあります。豚肉は駄目、牛肉は駄目、肉類は駄目、スカラー波は駄目等々、いろいろと制限がややこしそうです。都合のいい神様のみ信仰している私にはなんの問題もないのですが、今回の母乳取り違えの一件というのは、ひょっとして宗教的なタブーに触れる場合もあるのではないかと思いました。つまり、豚肉を食べた人の母乳を、豚肉を食べちゃいけない宗教の人の子供に与えてしまった場合、物凄い事になってしまうのではないかと。

古くからある乳母の習慣なんてものも、おそらく同一宗教、同一コミュニティ内で行われていたものでしょうから、これらの事は考慮されていたものと考えられます。しかし、病院の中までは監視できません。実際、今回の件も手違いが原因であり、意図的なものなんかは勿論あるわけがありません。

さてさて。実際のところどうなんでしょうか。母乳の成分なんてものは考えなくていいんでしょうか。調べようにも、こんな滅多に起きないような出来事の参考資料なんてそうそうありませんし。そんな、言ってしまえばどうでもいいような事を考えさせられる出来事でした。や、勝手に私が考えてしまっただけなんですがね。あくまで、摂取しているのは母乳であり肉ではない、という主張はできそうですが、その母乳の元を辿れば豚肉。どうなんでしょう。調味料なんかにも混ぜてはいけない、という事を考えるとアウトのような気もするんですが。


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