結婚式というものは女性の意見が優先されると言われています。と言うか、男性側は明確な意見を持っていない、というのが正解ではないでしょうか。我々も似たようなものです。世間一般と違うのは、相方も特に結婚式というものに執着しておらず、むしろ双方の親の方が乗り気であったりするところがあるのですが。

相方がどのような「結婚式観」を持っているのかはよく知りません。まあ、実際にこれから自分で体験するのでよく知らないというのは自殺行為ではないかとも思いますが、それは時間をかけてじっくりと探っていく事にしましょう。では、私はどのような「結婚式観」を持っているのか。この問いには、私自身が今まで出席してきた結婚式の話をする事で説明できます。

今までの人生の中で結婚式へは三回ほど出席しました。初回である叔母の結婚式は、私が幼稚園児であったため明確な記憶というものが残っておりません。せいぜい、「結構なお召し物を着て、結構なご馳走を食べた」ような気がする程度です。そんなもんです。この中で、私は「子供はオマケである」という事を学びました。

その結婚式から十年ほど後。私の「結婚式観」を固めた二回の結婚式がありました。同じ年の一月と三月に、従姉妹が続けて結婚しました。父方の、比較的年齢の近い従姉妹達です。

まずは、後から行われた方、三月の結婚式の話です。こちらは熊本市内にて普通に執り行われました。よく知りませんが、オーソドックスな形式だと思います。神前式の後で披露宴二時間コースです。式の中身なんかはあまり覚えていません。この結婚式で学んだ事は一つ。
「巫女さんは三割増」という事です。笑うな。

式場に着いて休憩していた私と両親に、突然の依頼がありました。
「神前式に参加して欲しい」
驚きました。まさかそんな事を頼まれるとは。よっぽど人がいないのか、なにも最も縁遠そうな従兄弟である私にまで声をかけなくてもよさそうなものですが、とにかく親が承諾してしまったため引くわけにもいきません。まあ、「座って、適当に周りに会わせていればいい」と言われたんで、参加することにしました。実際に、座って、紹介された時に挨拶をする程度で済みました。残りの時間の暇な事暇な事。意味も無くこみ上げてくる笑いをかみ殺しながら、ついでに欠伸もかみ殺しながら座っていましたが、その席でずっと考えていた事が「巫女さんの格好って……ええのう」というようなものでした。おそらくバイトではないかと思いますが、巫女さんがお二人いらっしゃいまして。また、その格好のよろしい事。普通の格好だったらなんてこと無いんでしょうけどねぇ。そんなわけで「巫女さんはイイ!」という事を学びました。式本編はほとんど覚えてないんで割愛。もう、この時は「巫女さん万歳」で一杯でした。

さて、この二つで終わると、私がまともな「結婚式観」を持っていないと思われてしまいます。特に、結婚式、というか披露宴本編に対してまともに書いていません。大丈夫。心配する事はありません。私の披露宴に対する考え方は残る一つの結婚式にて確立されました。

急に決まった結婚でばたばたしていたその日。父の実家に前日から滞在し、翌日朝から式場に移動する手筈になっていました。ここでちょっと説明しましょう。父の実家は熊本県の芦北郡、だいたい九州の真中やや南側になりますが、その海沿いの小さな港町にあります。港町なんで小さな漁船もあるのですが……まさか翌日、貸切の小さなフェリーで移動するとは思いもしませんでした。そりゃ、ね。式場がある天草まで陸路だったら四時間程度かかるらしいので、「ならば海を渡ろう」と考えるのは間違ってはいないのかもしれませんが……まさか船を使うとは。そんなこんなで、色々な意味で度肝を抜かれた披露宴が始まりました。

それから始まる披露宴。いろんな意味で田舎ですので、大騒ぎになるとはある程度予想していましたが、まさかこれほどとは。六時間にもわたる大宴会になるなんて、それは予想できませんでした。新婦側、すなわち私の従姉妹の側は一族総出で大騒ぎ。新郎側は、役場の職員であるがためか、役場関係者の皆様がたくさんやって来てこれまた大騒ぎ。私は私で次々と出てくる海の幸に大騒ぎ。といった具合に、新郎新婦そっちのけの大宴会が行われていました。あれで三年分は刺身を食ったと言えるくらい堪能させていただきました。もう、お腹一杯。

すなわち。私が持つ「結婚式観」とは。「お祭りである」との一言に尽きます。それもこれもあの結婚式がいけないんです。披露宴だけで半日かからないといけないんです。招待客は三桁からなんです。新郎新婦はほったらかしなんです。そんなもんなんです。

そんな私の結婚式観が揺らぐ時は来るのでしょうか。最後のチャンスとして、従兄弟の結婚式が五月に行われます。この結婚式で、私は新しい価値観に目覚めるのでしょうか。はたまた、従来の価値観に確信を抱くのでしょうか。答えは未だ分かりません。全ては従兄弟次第です。非常に楽しみです。

……誰ですか。「また巫女さんに会えるかもしれないのが嬉しいんだろう」なんて言う人は。そんな事は考えてませんよ。ちょっとしか。


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