「ジャイアニズム」という言葉があります。いや、本当にそう呼ぶのかは知りませんが。「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」という例のアレです。これは極端に言えば恐喝なんですが、そうじゃなくて、もっと平和的な「物の貸し借り」について語ってみましょう。

我々の子供の頃はファミコンなんかが現役で活躍していた時代でした。ぽんぽん新作を買う金があるわけもなく、仕方なく友人達との間でソフトの貸し借りをしていました。
すると、親が心配して「ちゃんとソフトに名前を書いておけ」と言ってくるわけですよ。で、それに従って油性マジックで名前を書いてました。中古屋に売れんがな。
名前を書くことはさすがに最初のうちだけでした。せっかくの資金回収の術が使えなくなるので。で、そんな頃、だいたい小学生の頃ですが、借りたものはちゃんと返し、貸したものも返ってきてました。

それから10年近く経ちました。所有物の管理はえらくいい加減になっています。
2年程前、友人からとあるゲームを借りたのですが、お仕事でばたばたしていたのでなかなか返す機会がありませんでした。借りているということすら忘れていましたから。
昨年掃除中に棚の中から発掘されたので、電話でそのことを伝えると、
「あ、なくなったと思ったからまた買ったよ」
をいをい。結局そのゲームはなし崩し的に私のものとなりました。いいのか?

かく言う私も、紛失した所有物は数多くあります。
就職する際に引っ越して一人暮らしをすることになったのですが、さすがに全てのゲーム関連所有物を持っていくことは不可能だ、どうしよう。ということで、友人宅に預けたはずでした。
そう、「預けたはず」なんです。ですが、先日その友人宅の押入れを探しても何もありません。なんせ、友人が「預かってない」と言うのですから。
一体私のゲーム関連所有物一式はどこへ消えたのでしょうか。学生時代に同級生から無料で回収したファミコンのソフトとか。20世紀末まで現役で稼動していたスーファミとか。そう言えば、誰かが借りていくって言ってたような。
かくして、今更ながら後悔するのです。「名前を書いておけばよかった」と。


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