今日は友人達とクリスマスパーティーです。……二十代も半ばを過ぎようとする男達が集まって何が悲しゅうて「くりすますぱーちー」などという戯けた宴会をしなければならないのか甚だ疑問ですが、そういう設定なんでご了承ください。いい歳した兄ちゃんたちの宴会シーンは想像しなくて結構です。

という事で設定上、今日の日付はクリスマスイブです。そういう事にしておいてください。私は会場という名の友人宅に向かう前にコンビニで食料を調達しようとしているところです。アルコールは実家から強奪したビールが1ダースほど。ビール派の人間が少ないんで、これくらいでも問題ないでしょう。私は当然酎ハイ。焼酎や日本酒が飲みたい面々は各自で持参、金がないならビールでも飲んでなさい。持参したてだから冷えてないけど。

さあ、コンビニにやって来ました。煎餅にスナック菓子、アイスにジュース。駄菓子なんかも結構ポイント高めです。30円程度のお菓子をいくつか買っていくと「懐かしい」なんて声がどこからともなく飛んできます。
今日もよろしくビッグカツ。
今の気分はベビースター。
これは俺のだチョコバット。
そんな具合にしこたま悩みながらも食料を買い込んでいきます。

さあ、いざお会計。と、レジに並ぶ私の目にある物が飛び込んできました。それはくじ引き用の箱です。一定額以上の買い物をした人のための、いわばプレゼントのようなものです。

学生時代にコンビニでバイトをしていた事がありましたが、あの手のくじの商品は何を基準に選んであるのでしょうか。当時、同じようなくじ引きが行われていた時に近所の遊園地で花火大会があり、「景品が売り切れててごめんなさい」という事態になっていました。たしか、あの時はやたらと「アロエ入りヨーグルト」の当たりが多かった気がするのですが、この商品はそんなに人気があったのでしょうか。終いには棚を見に行くまでもなく「すいません。それ売り切れなんですよ」と言うしかありませんでした。んで、残念賞代わりというか、お詫びの品という事で柿の種が景品になっていました。

そんな事を思い出しながらお会計です。今日は花火大会があるわけでもないので、残念賞を貰う事はないようです。基準となる金額以上に買い込んでいたため、くじを引く権利も貰いました。さあ、何が貰えるのか。それとも、ここまで期待させておいてスカなのか。いざ、勝負。

「あ、当たりですね。少々お待ちください」
「はい、こちら景品です。ありがとうございました」

さて、ここは会場。ビール1ダースと大量のお菓子、そして先程もらった景品を手に、入り口のドアを開けます。私が到着するのを、正確にはビールとお菓子が到着するのを待っていた友人が、私の荷物を奪っていきます。当然、この場には場違いな「プレゼント」も奪っていきました。

「……なんじゃこりゃ」
いや、あのコンビニって、ある程度買ったらくじが引けるだろ。
「で、これを貰ったのか」
うむ。なかなか途方に暮れたぞ。
「だろうな。俺はてっきり受けを狙って外したものかと」

コンビニからのプレゼント。それは6枚入りの食パン。今から飲み会をしようという人間にこんな物贈ってどうしろと。


クリスマス雑文祭

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