本人がどう思っているかはさておき、傍から見ると私はもう三十路手前のいい大人なのです。いつまでも「趣味:漫画とゲーム」ではちょっと人聞きが悪いと思うのです。ほら、見栄とかそういうアレがある訳ですよ。かと言って「趣味:雑文書き」とか言い張るのも、これはこれで問題が。次に来る質問は「どんな事を書いているんですか」となるのでしょうが、それへの回答が「ゲームとかおっぱいとか」となるわけです。これは酷い。まだ「漫画とゲーム」の方が救いようがあります。

面白いのは分かりますが、残念ながら「漫画とゲーム」の社会的地位は高いとは言えません。ならば、もうちょっと格好がつく趣味を持とうではないか。という事で、映画を見ることにしました。五十歩百歩とは言え、「趣味:映画鑑賞」の方がまだ聞こえが良いと思います。

まずは見る映画を選ばなければいけません。いくら「文学的に興味がある」とか言い張っても、日活ロマンポルノではいけません。いや、駄目って事は無いけど、今回のテーマは「聞こえがいい趣味を探す」ですから。そうなると無難なところで過去の話題作とかそんな辺りになります。今回私が選んだのは「レッドクリフ」という映画。古代中国は三国志の時代に起きた「赤壁の戦い」をテーマにした映画です。これを選んだ理由は、私が三国志が好きだから。そして、以前地上波で放映されたものを録画していたから、です。だって金払ってレンタルする気にはならないもん。

お菓子と飲み物を準備して、いざ観賞、となったのですが。だいたい一時間くらいで飽きました。まだ半分ほどしか経過していませんが、「まだ半分もありやがる」という気分です。何が悲しくてこんな拷問を受けねばならんのかと。結局それからはほどほどに早送りを駆使しつつ、どうにか全部見る事ができました。いやー、よく頑張った。偉いぞ、俺。もともとストーリーだのなんだのには特に興味はなく、戦闘シーンをどう描くかに注目していたのですが。やっぱワイヤーアクションはいかんだろ。三国志でぽんぽん空飛んだらいかんだろ。

何年か前にも、ちょっと興味がある映画を頑張って見ようとした事はありました。その時も、だいたい一時間くらいで飽きてしまい、結局そちらはそのまま続きを見ることはありませんでした。私の集中力は一時間くらいが限度のようです。

それにしても、じっと画面を見続ける事がこんなに苦痛だなんて。改めて考えてみたのですが、どうも「ひたすら受動的に画面を見ていると、物凄く無駄な時間を過ごしているように思ってしまう」事に問題があるようです。漫画だったら自分のペースで読み進められます。ペースを遅くすることも、逆に早くすることも可能ですが、それはいずれも私の意思に基づきます。ゲームだったら、能動的に操作しないといけません。操作しないでどんどん進んでいくゲームは、少なくとも私はゲームだとは認識していません。しかし、映画だと完全に受身でないといけません。せいぜい、興味がないシーンを早送りで飛ばすくらい。映画館だったら早送りすらも出来ません。興味があるシーンが多いのならば問題ありません。逆に、興味がないと分かっているシーンならば、完全に飛ばしてしまえばいいのでこちらも問題ありません。「興味があるシーンと見せかけて実は全然面白くないシーン」というのが一番困ります。今回の映画で言えば戦闘シーンでしょう。待っていました戦闘シーン、と思いきや棒切れでぱっこんぱっこん叩いたり、バンと叩いたらピョーンと飛んでいったり。事前に「これから30秒間は棒切れもってクルクル回ります」とか「これから三分間に五人がワイヤーで飛んでいきます」とか予告されていれば早送りで対応できます。でも、実際には「これからお前が興味がありそうな戦闘シーンが始まるよ」くらいしか分かりません。

「映画を見ようとしたけど挫折した」のはこれで二回目。もういいや。私に映画は似合いません。格好がつかなくても「趣味:漫画とゲーム」でいいじゃないですか。少なくとも、私の中では映画は圧倒的格下扱いです。あ、でも年に一度のポケモン映画は家族で見に行きますよ。特典の「特別に配信されるポケモン」を受け取るために。やっぱゲーム優先です。


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