日本には、俗に「国民の三大義務」と呼ばれるものがあります。「勤労の義務」「納税の義務」「教育の義務」。以上の三点です。

「勤労の義務」とは、「ちゃんとお仕事しましょう」という事です。面倒とかかったるいとかでもちゃんとお仕事しなければいけません。今現在の私のように、ノートPCを広げ、傍らに書類を置き、カタカタとキーボードを叩きながらくだらない文章を書いているのはどう見てもアウトです。義務を果していません。

「納税の義務」とは、「ちゃんと税金を払いましょう」という事です。これは世の中が給料天引きとか消費税強制徴収とかそういうシステムになっていますので、誤魔化そうにも誤魔化せません。偉くなって収入がっぽがっぽになれば、あんな事やこんな事で脱税あわわわいやその節税できるのですが、とてもそんなご身分ではありません。結果的に、私の意思に関わり無く義務を果している事になります。

「教育の義務」。まあ「お勉強しなさい」なのですが、これはどちらかと言うと本人ではなくその子供達に対しての義務のようです。つまり、「お勉強しなさい」ではなく「お勉強させなさい」である、と。義務教育というものもありますし、これは私本人に関しては達成済み、子供達に関しては現在進行形となります。

子供は学校や幼稚園、保育園で様々な事を学んできます。それは先生達から教わるお勉強以外のことも含まれると思います。友人達と円滑な関係を結んだりする事もそうです。「お友達みんなと仲良く遊びましょう」となるのが一番ですが、些細な上下関係やらどうにもかみ合わないやら、そういう「仲良くできないお友達」とどのように接するかも学ばなければなりません。また、身をもって「やってはいけない事」を知る事も大切です。ゲームソフトを公園のベンチに放置して紛失したりとか、掃除時間に友達の雑巾に噛み付くとか、遊んでいるときに突然ズボンとパンツを脱ぎだすとか、そういう事はやってはいけない事に分類されます。そういう事をすると大人から怒られ、怒られる事で「やってはいけない事だ」と学んでいきます。でも、雑巾食べるとお腹壊すと思うよ、息子よ。

私の考えとしては、集団生活では子供の仕事が幾つかあると思います。上記の「怒られる事」も子供の仕事の一つです。その他、「怪我をする事」もそうだと考えています。擦りむいたり火傷したり、ぶつけたり踏んづけたり、切ったり挟んだり、叩いたり叩かれたり。痛い思いをすることで学習する事も決して少なくないと思います。自転車で派手に転んで頭から流血した場合は、もっと上手に乗ろうと努力したり、転んでも大丈夫なようにヘルメットを被ったりします。叩かれて痛い思いをした場合は、叩かれないように友好的に振舞うか、叩き返す事ができるように力を欲します。どちらがいい、という性質のものではありません。喧嘩はあまりよくありませんが、かと言って全然喧嘩しない子供はいません。親としては、「怪我するのは構わないが、怪我をさせないでくれ」くらいしか言えません。あと、「凶器は駄目」とか。

そして、その他の子供の大切な仕事の一つ。「病気をする事」です。いや、毎日風邪ひいてろとかそういう意味ではなく、一度感染すると免疫力がつく類の病気は子供のうちにやっとこう、という意味です。例えば、おたふく風邪なんかは子供のうちだと「しばらく学校お休み」程度で済みます。しかし、大人になって感染すると最悪の場合子種無しな事態になります。そんな極稀な例を除いても、大人になって一人暮らしで半死半生の事態になるよりは、子供のうちに親の看病の世話になる方がいいでしょう。現在流行の最先端を行くナウいヤングの間でふぃーばー中の麻疹も、小学生くらいで感染しておけば「降って湧いた臨時休校でラッキー」程度で済みます。

という事で、現在次男は水疱瘡に感染しております。立派なお仕事です。大人よりは子供のほうが軽症らしいので、今のうちに感染しておいたほうがいいのです。小学校までに感染する機会が無かった長男も、これでおそらく感染する事でしょう。できればまとめて感染してくれたほうが、看病のための有給とかそういうあれで楽なのですが仕方ありません。

それにしても。最近の水疱瘡というのは痒くないのでしょうか。次男に発疹が出て来た当初は虫刺されの類だろうと考えていました。只でさえアトピー気味で肌の弱い次男です。どこかで蚊に刺されたのだろうかと思っていました。しかし、発熱し、発疹が水泡になる辺りでどうもおかしいと、病院に連れて行くことにしました。この時点でも水疱瘡とは思っていません。むしろ、麻疹の方を考えていました。しかし、通常の麻疹は熱>発疹>熱という順序で症状が出てくるそうです。発疹>熱な次男はちょっと違います。まあ、病院に行けば何らかの答えは出るだろうと思いました。

で、病院にて。いまいち自信が無いままその症状を伝え、発疹を見せます。するとはっきりとした口調で言われました。
「これは水疱瘡ですよ。もっと早く連れて来てくださいよ」
いやいやいや、これ水疱瘡なんですか、虫刺されとかアトピーとかそんな「いや、これは水疱瘡ですよ。見れば分かるでしょう」あうあう。

一刀両断です。むしろ無能親父扱いです。ええええ、これ水疱瘡なの。俺の記憶の中にある症状と違うぞ。いや、私だけではありません。同じく幼少時に感染した奥さんも「水疱瘡とは思わなかった」と言っておりました。それどころか、たまたま日曜日が小学校の運動会だったんで観戦に来ていた私の両親、そして奥さんのお母さん。揃いも揃って「これは一体なんだろうねえ」です。どういう事だ。十五年経過して水疱瘡の代表的な症状が変わっちゃったのか。元看護婦な私の母ですら「ただのぶつぶつ」扱いなんだから私が気付くはずもありません。昔感染した水疱瘡はもっとこう、「凄く痒いぶつぶつが全身にぶわーっと」だったと思うのですが、次男に聞いてみると「かゆくない」です。本当に水疱瘡なのかな。


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