先日、友人の結婚式に出席してきました。仲間内では初となる結婚式です。結婚そのものは私が最も速かったのですが、式を挙げていないので「結婚式」としては初めてなのです。

めでたいばかりの結婚式ですが、困った事が一つ。それは地理的な制約です。地元の友人なので当然会場は地元。土曜日の昼過ぎから行われるので、遅くとも土曜日昼前には地元入りしないといけません。さらに、当日は当日で色々と雑用があり、それらを含めると前日の夜中には移動しておかないと間に合いません。

かくして、金曜日に退社後車で移動、当日午前中に雑用をこなしそのまま出発という予定になりました。当日はおそらく運転手として行動する必要があると考えていたので、できれば充分な睡眠時間を確保しておきたかったのですがそうも言っていられないようです。

さて、問題の金曜日。適当に仕事をするフリをしつつ、退社のタイミングを伺います。昨年後半のように体調を崩すような修羅場は過ぎ去ったとは言え、一応納期前のそれなりに大切な時期です。かちゃかちゃと作成したシステムのテストをしつつ、修正をする仕草だけしていました。ええ、脳内はすでに翌日の事で一杯です。

そんなときに限って、結構大変な不具合、所謂バグというやつは見つかってしまいます。午後八時くらいには切り上げて帰ろうと思ってたのですが、それを発見してしまったのは午後七時半。原因を究明しつつも結局解決できず、退社したのは午後九時半でした。それから一時間で帰宅、てきぱきと準備を行い車で移動です。

スタートから躓いてしまいましたが、問題はまだまだありました。高速道路が全線速度規制中だった事。昼間に雨が降ったせいもあって、殆どの区間で80km規制、ひどい区間では50km規制なんて事もありました。ちんたら走れば走るだけ睡眠時間が削られるとあって、可能な限りの速度で移動しますが、やはりいつもよりは時間がかかってしまいます。結局、その日は深夜二時前にようやく就寝、私としては睡眠不足確定という状況で当日を迎える事になりました。

さて、当日は午前十時に起床。これでもおそらく時間ギリギリです。これから出発までにやらなければならない事は
・給油
・ご祝儀袋調達
・車のワイパーゴム交換
です。こうやって見ると、「それくらい前もって準備しておけ」と言われそうなものばかりです。実際、私もそう思いました。

給油と買い物自体はそれほど時間はかかりませんでした。長男と共に、実家近所ですませたので所要時間は三十分ほどでした。問題は、実家に戻ってからのワイパーゴム交換。左右共に交換でしたが、片方の交換でコツを掴めばもう片方は簡単に交換できるだろうと考えていました。実際、二本目の交換は五分ほどで終了しました。しかし、コツを掴むための一本目で非常に手間取ってしまいました。所要時間、軽く三十分。ええ、ここを取ればいいのか、あっちを取ればいいのか、ここを切ってみればどうだろうか等々、見当違いの行動ばっかり。ようやく交換が終わった頃には両手は真っ黒です。

すでに時刻は正午前。軽く食事をとったり同行者と合流時刻の打ち合わせをしたりしているともう出発予定時刻前です。さあ大変。未だに普段着のままです。

まずはばたばたとスーツに着替え。これくらいは日常と一緒です。五分もかかりません。その後、ポケットの中に様々なものを詰め込みます。懐中時計に眼鏡拭き、ハンカチに携帯電話、これらがズボンのポケットの中に。ジャケットにはデジカメと予備の電池、それにPDAとポケットティッシュ。忘れちゃいけないご祝儀袋。って、いかん、中身が入ってない。ここでどたばたとご祝儀の準備。「読めなくなるだろうから」とあえて筆ペンではなくボールペンで書いてしまったのは失敗でした。とりあえずこの失敗は次回に活かす事としましょう。

さあ、服の準備はできた。見た目は……いかん、寝癖が残ってる。前の週末に散髪したせいで髪が短くなっているため、簡単には寝癖が直りません。ドライヤーを駆使しつつ、とりあえずおかしくないレベルまで。

と、鏡とにらめっこしていると、ある事に気が付きました。しまった、髭を剃ってない。大変です。もう時間はそれほど残っていないのに、今までそんな事に気付かないなんて。

ピチャピチャと水で濡らし、ハンドソープをクリームの代用として髭剃り開始。って、髭が固いのなんのって。手間を惜しんだ結果、余計に手間がかかってしまいましたが自業自得と言う奴です。ようやく剃り終わった頃にはすでに開始一時間前。会場まで二十分近くかかる事を考えるともう時間は残っていません。

んじゃ行って来る、と一言残して出発しようとしましたが、そんな私の背中に相方の無常な一言が。
「まだ寝癖が残ってるよ」

むきーっ。いや、逆上してはいません。ありがたい指摘です。むしろ、短くて寝癖が直しづらい私の髪へのやり場の無い怒りです。再び洗面所へ。水をつけて、ドライヤーで直して。という先程も行った動作を繰り返す私の目に追い討ちをかけるような現象が。

出血です。準備を怠って髭を剃った私の顎から、口周りから、鼻の下から、様々な個所から出血です。さすがに披露宴に血まみれはどうかと。などと悠長な事を言っている場合ではありません。気付くのが遅かったため、一部はシャツの襟元に付着しています。真っ白なシャツでなくてよかったと、自らの選択にちょっと感謝しましたが、それすらも気休めでしかありません。

襟元を軽く石鹸で洗い流してとりあえず目立たない程度に。口周りは水で洗い流してからティッシュで拭き取りまくり。で、これが全く止血できず、再度襟元を汚して洗い直し。そんな事を繰り広げながらようやく出発できたのは開始五十分前。途中で同行者を拾い、会場入りしたのは開始三十分前でした。いやはや、どたばただよ、はっはっは。

なんて事をやっていましたが、当日最もどたばただったのは新郎である友人松某だったようです。何の因果か、前日より熱発。ドクターストップを振り切って座薬やら咳止めやら総動員だったものの、当日は八度五分の高熱だったとか。披露宴そのものはなんとかしのいだものの、二次会では予想通り見事な撃沈ぶりでした。

通常であれば「おいしい」という一言で済まされますが、さすがに今回は笑い飛ばすわけにもいかず。とは言え、次回会ったときは是非とも聞いてみたいものです。
「狙ってた?」
蹴られそうですが。


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