ちょっと専門的なお話になりますが、プログラマーというお仕事をやっていると、様々な場面で「命名」をする必要があります。ある画面の名前、あるプログラムの名前の他、あるファイルのファイル名、あるプログラム内の変数の変数名等、本当にたくさん命名しなければいけません。このうち、「ある画面の名前」なんてものは、私が直接命名する事はほとんどありません。殆どの場合は、私の手元にやってくる頃には既に命名済みとなっています。ただし、ギリギリになって「この画面を追加してくれ」なんて依頼があった場合は、私が適当な名前を付けることもあります。適当といっても、他の画面の名前も考えて、それなりの無難な名前を付けます。「なんたら参照画面」とか。

最も命名が面倒なのが「あるプログラム内の変数の変数名」です。なんたら情報用の変数、かんたら情報用の変数、ここのカウント用の変数、あそこのカウント用の変数等、似たような仕事をする変数が多数存在する場合には名前がネタ切れになります。別々のプログラムであれば全く同じ名前を付ければいいのですが、同じプログラム内で似たような仕事、となると最初の変数名にちょっと追加した名前なんかを使ったりします。後々でメンテナンスが大変な事になる事は分かっているというのに。ああ、ごめんなさい。

ゲームなんかでも同様です。主人公の名前だけでなく、武器やら組織やら。そんな、単発の命名ならば問題はありません。例えば私が好きな某競馬ゲーム。あれは、生まれてくる仔馬一頭一頭に名前をつけなければいけません。ゲーム開始直後なんかは愛情を込めて命名を行うのですが、中盤以降はゲーム内時間で毎年数頭に名前を付けなければいけません。そりゃ、ネタも切れるというものです。私の場合、全ての馬を「○○クラウド」という名前にしていました。傍らに英和辞典を置き、適当にめくったページにある単語をそのまま付けていました。発音すると無茶苦茶だと思われるような名前でも構いません。とにかく命名しない事にはゲームが進まないのですから。

さて、本題。サイトを運営する場合でも命名は欠かせないものです。まず開設する際にサイト名とハンドルを決め、それぞれの文章には個別のタイトルをつけ、掲示板には適当に名前を付ける。ここのような雑文サイトでも、これだけ命名する機会はあります。自作のイラストや音楽を公開している方々は、これらにも命名されています。皆様、お疲れ様です。

私の場合、ハンドルは昔から使っていた名前を、サイト名はオンライン辞書で「cloud」を検索して、その結果からよさそうなものを適当に選んで付けました。on cloud nine。「喜びに酔いしれて」だとか「夢見心地で」なんて意味があります。いや、「積乱雲」という意味もあるのですが、さすがに雑文サイト名の意味が「積乱雲」というのはあんまりでしょう。あと、各文章のタイトルはその内容を端的に表したもの……のはずです。最初期の文章には何を考えたか「10万円キャッシュバック」なんてものもありますが。なんでこんな名前にしたんだろう。

ここ、「on cloud nine」が存在するサーバ内には、身内連絡用の掲示板があります。ここの掲示板と違って、ちゃんと名前も付けてあります。本当に身内専用であり、関係者以外はそのURLも知らされていないがために掲示板名でもネタに走る事ができます。そうじゃないとあんな名前付けませんよ。『全マナ使ってDrainLife 掲示板』なんて。Magic: the Gatheringをやってない方には何の事やらさっぱりわからない名前でしょうが、あんな場所に来るような人間は、全員が理解しているのでそんな名前を付けることが出来ます。

そして先日、その掲示板に機能拡張を施しました。とあるゲームが発売になったのですが、発売日に購入した友人よりそのゲームの情報その他諸々を得るためにアップローダを作成しました。半日ほどで出来上がったのですが、今度はどんな名前にしようか、と。そして公開しました。『島出してエンド アップローダ』。ええ、身内専用ですとも。じゃないとわざわざそんな名前は付けません。またギャザか。

そんな具合に、身内限定なら楽屋オチでごまかす事が出来ます。しかし、その楽屋オチが使えない場所では、うんうん唸って悩まなければいけません。唸って、悩んで、逆立ちしてもいい考えが浮かばないならば。名前付けないで放っておこう、とばかりに、当サイトの掲示板は未だに名無しのままです。これも趣味でしか使えない方法です。仕事でやったら怒られます。
「おい、cloud。ここの画面の名前は?」
「ああ、いい考えが思い浮かばなかったんで『表示する画面その24』ということで」

いや、でも適当につけた変数名がそのまま使われてる所ってあるんだけどなぁ。テレビで報道されたときはドキッとしました。適当に命名した部分がブラウン管の中に映し出されてるんです。もうちょっとマシな名前を付けたが良かったかもしれませんが、まあ使用者は気にしないだろうな、という事で。


トップ 一覧 前の雑文 次の雑文