アンタップ、ドロー、……、打つ手なし。終了っす。
「んじゃ、アンタップして、ドロー。<<ボールライトニング>>召還して攻撃」
……素通し。6ダメージ。
「その後で<<火葬>>」
……3ダメージ。ライフはあと2点。
「<<山>>を2枚生贄にして<<火炎破>>」
投了。いかん、引きが悪いなぁ。

分からない人にはさっぱり分からないMagic: the Gatcheringの対戦風景をお送りしました。さて、ここでちょっと現状の説明を。今日は地元の仲間内で集まって、Magic: the Gatcheringの対戦をやろう、しかし対戦場所の提供者が残業で遅れるため、先に集まれる人間は集まっておいて彼を待とう、ということで、対戦しながら連絡を待っているのです。今、この場にいるのは私と友人林某。そう、私が雑文書きということを知っている数少ない人物です。いや、本当は「ネタにされる気分はどういうものなのか」ということを聞いて、更にネタにしてみようと目論んでいたのですが、「いいんじゃないの?」というどうにもしようのない返答が返ってきたので、その企画はボツになってしまいました。

「遅いなぁ」
連絡ないなぁ。
「ゲームでもする?」
なんかあるのかな……お、これやろう。

私が取り出したのは「桃太郎電鉄 X」。「X」は「エックス」ではなく「ばってん」と読みます。ゲームには一人で楽しむものと、接客用とありますが、この「桃太郎電鉄」シリーズは接客用ゲームとして有名です。ゲーム内容は、日本中をサイコロ振って周りながら、いろんな物件を購入し、自分の会社を大きくする、というものです。この「桃太郎電鉄 X」には、おまけとして「九州編」というものが収録されています。いつもならば日本全国の地図を使用するのですが、九州編では九州内の地図のみを使用するのです。私も、そして友人林某も九州内に生息しています。当然、九州編で対決です。

ゲーム内で気になるのが、「物件を買えるのはどんな駅なのか」と、「どんな物件を買えるのか」という点。特定の駅では、その地の特産品なんかを買えたりします。例えば、「博多駅」では『プロ野球球団』や『ラーメンの屋台』なんて物件が売ってあります。私としては現在の居住地近く、そして熊本県荒尾市近郊の物件を狙って買いたいものです。佐賀在住の友人林某は、やはり佐賀の物件を狙ってくるのではないでしょうか。そんな事を考えながらゲームスタート。

序盤の展開はどうでもいいでしょう。ゲームが進んで、友人林某が大牟田駅に止まりました。我らの魂の故郷である熊本県荒尾市、その隣の福岡県大牟田市の駅です。この辺の地図を見て、両者ともクレームを付け出します。

「おいおい、荒尾駅はないのかよ」
大牟田かぁ。荒尾駅があったらいろいろ物件候補はあるのに。
「ねぇ、『遊園地』とか『ナシ園』とか」
でも、荒尾駅って、駅前のコンビニが潰れるほどの過疎地だしなぁ。
「あ、あそこ潰れたんだ」

そんな景気の悪い駅は収録できなかったんでしょうか。それはさておき、大牟田駅の物件内容を見てみます。

あ、『カルタ館』がある。
「あそこ、潰れたんじゃなかったっけ?」
いや、残ってる。潰れたのは別のやつじゃなかったっけ。

……結局景気の悪い話しか出てきません。やっぱ、荒尾駅のほうがまだなんぼか華やかな物件一覧になりそうですよ、ハドソンさん。

ゲームは続いていきます。しばらくすると、私が宮崎駅に到着しました。

あ。
「売ってますなぁ。」
潰れたんじゃなかったっけ?
「製作中はまだあったんだろうねぇ」

結構な高額で『リゾート施設』がありました。大規模な第3セクター事業の破綻の例として名高いシーガイアです。cloud電鉄に購入する資金はありませんし、あったとしても縁起が悪いので買いたくありません。……ああ、南国でも景気が悪い話になってしまいました。

さらにゲームは続きます。友人林某が佐賀駅に止まりました。林某電鉄、たまたま現金が無いため物件を購入する事はできませんが、とりあえず一覧だけでも確認してみます。

「……」
ぶわっはっはっは。
「……」
なんだよ、これ。

住民の高齢化問題で悩んでいる大牟田駅ですら、『炭鉱』や『博物館』など、いわゆる高額物件が並んでいました。しかし、今、モニターに表示されている佐賀駅の物件一覧。
『水田』ばっか。
『水田』。いわゆる「手堅い農林物件」です。このゲームの傾向として、食品、農林関係の物件は比較的安価に、観光施設なんかは比較的高価な値段がついています。製作者の方はよっぽど佐賀の物件に困っていたようです。たしかに、以前私が友人林某宅に泊まりに行った際、夜11時過ぎになると町中が静まり返っていた事にびっくりしたものです。しかし。痩せても枯れても県庁所在地ですよ。大牟田に負けてどうしますか。私の脳内にある荒尾市にはボロ負けですよ。叱咤しているのか、笑いものにしているのか、どっちかと言えば後者ですが、「大牟田の物件を買い占めるのには数十億の資金が必要なのに、佐賀を買い占めるのには3億くらいあればいい」とか、「佐賀の物件全部 vs 福岡のプロ野球球団。佐賀のボロ負け」という現実は笑えました。

え?ゲームの結果?私が怒涛のサイコロ運で勝利しました。いや、本当に。しかし、桃太郎電鉄九州編。最初は「九州人だったら九州編」という気持ちだったんですが、その中身は、九州の現実を見せ付けられたような凄くつらいゲームでした。なんちゅうか、「ああ、あそこも潰れたねぇ」とか、「あそこは買収されたなぁ」とか、そんなんばっか。このゲームをプレイした、特に九州外の子供達が、九州に対して間違った印象、いや偏見を持たない事を願います。

最後に、ゲーム内のとあるイベントが起きた際の我々の会話より。
「あ、イベント……バルーンフェスタ……って、おい」
うわぁ……。
「きついなぁ」
やっぱ、あれか。ガタリンピックとかもあるのかな。
「……勘弁してください」
ハドソンさん、次回作では佐賀にも愛をお願いします。友人林某、いろいろと打ちのめされておりました。


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