膝枕が好きです。
なにをいきなり、と思われそうですが、好きなものは好きなんです。そもそも私は仲間内では膝枕魔として有名です。なんだそれは。

膝枕と言っても、何の脈絡もなく手当たり次第に仕掛けているわけではありません。そんなことしてたら捕まります。せいぜい、飲み会で酔ったふりをして仕掛けるぐらいです。セクハラと言われる場合もあります。いや、セクハラなんですが。
そういうときでも、やっぱり手当たり次第というわけにはいかないんで相手を選びます。ここでは、合コンのような場面を想像してみましょう。ちなみに、私は合コンという素敵な場所に居合わせた経験がないんで全て想像です。
まず、相手を選ばないと大変なことになります。もし、隣の男友達に仕掛けると、翌日から「あの男にはそういう趣味がある」などと悲しい噂が立ってしまいます。その場合は新たな道に目覚めるのもよいでしょう。男じゃないから、という理由で飲み屋の店員のお姉さんに仕掛けるとお店の人たちに怒られてしまいます。場合によってはお店から叩き出されるのでやめておきましょう。
そういう場面ならば、正々堂々と一緒に飲んでいるお嬢さんに狙いを定めてみましょう。獲物はいい気分で飲んでいるお嬢さん。軽く酔っ払っていたら完璧です。
お嬢さんの横に座り、ちょっと会話をし、そしておもむろに寝転がる、と。もちろん頭は膝の上です。この時、ためらってはいけません。あくまで自然に、さりげなく。頭を置いた後にさわやかな笑顔を贈れば完璧です。実践したところで、私は何の責任もとりません。「殴られなければいいね」程度に思ってください。

膝枕の何がいいって、あのぬくもりですか。頬に伝わってくるぬくもり……あ、いかん、よだれが。そして、膝枕のオプションと言えば「耳かき」です。「膝枕万歳!」と叫びたくなります。膝枕を考案した人物に金一封を送りたいとさえ思います。思うだけです。

当然、私は男なんで「野郎の膝枕」は未経験です。そんなものに頭を置きたくありません。だから、女性の立場で膝枕を語ることはできません。せいぜい、「重くて大変だろうな」程度しか考えつきません。不公平だとは思いますけどね。こっちは気持ちいいのに、むこうはごつごつした足に頭を乗せるわけですから。思ったところで交代してあげられるものでもありませんが。というか、絶対交代しません。ええ、しませんとも。


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